午前がカギ┃非IT文系の基本情報技術者合格記録。勉強時間とおすすめ参考書について

おすすめ参考書の栢木先生の基本情報技術者教室 生活を豊かに

「いつか転職してやる!」とひっそりIT関係の勉強をしている私。

文系非IT職ですが、独学で基本情報技術者に合格できました。勉強のコツや試験の概要について、試験合格に奮闘した者の目線にてまとめます。

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1.基本情報技術者試験について

まずはざっくりと、基本情報技術者試験についておさらい。

(1)ITエンジニアの登竜門、レベル2/4に該当

基本情報技術者試験はIPA(情報処理推進機構)が主催している、ITエンジニアの登竜門的資格です。

情報処理に関して広く浅く問う試験であり、知識の土台を醸成できることから、IPAとしても、ITエンジニアを目指すのであればまずはこの資格から受験するよう推奨しています。

また、試験の難易度はレベル2であることからも、情報処理試験の中では比較的取得のしやすい資格であると言えます。

レベル1ITパスポート(IP)
レベル2情報セキュリティマネジメント(SG)
基本情報技術者(FE)
レベル3応用情報技術者(AP)
レベル4ITストラテジスト
システムアーキテクト
プロジェクトマネージャ
ネットワークスペシャリスト
データベーススペシャリスト
エンベデッドシステムスペシャリスト
ITサービスマネージャ
システム監査技術者
情報処理安全確保支援士

(2)2021年1月からCBT方式を導入

従来の基本情報技術者試験は筆記問題でしたが、2021年1月よりCBT方式を採用しています。

CBT方式とは…
 Computer Based Testing の略。コンピュータで試験を受験する方式。

回答方式が紙→PCへと変更されたものの、基本情報技術者試験はもとより4択問題の試験であるため、受験生にとってはさほど影響はないと思います。重要なのはむしろ次の項の…

(3)午前・午後の2区分での試験、別々での受験も可

CBT方式の導入と併せて、午前試験と午後試験を別日で受験することが可能になりました

受験生への影響大。午前と午後を別々で受験可となると、試験勉強の進め方にも大きく影響してきますし、単純に試験1日あたりの負担が大きく軽減されます。

(4)午後のアルゴリズム・プログラミングが鬼門

IT初心者や文系人間にとっては特に鬼門となるのが、午後試験におけるアルゴリズムおよびプログラミング言語。

両方とも必須回答であり、大問5問のうち、これら2問のみで半分の50点を占めます。

配点比率が高いため、基本情報技術者試験に合格するか否かは、アルゴリズムとプログラミング言語をどれだけ習得できるかにかかっていると言っても過言ではありません。

(5)至近試験で合格率に変動アリ!今がチャンス?!

CBT方式が導入されて以降、合格率は従来の2倍程度と高水準で推移しています。

年度受験者数合格者数合格率
201699,99926,59126.6%
2017105,25223,38822.1%
2018111,38128,55225.6%
2019121,55631,22425.7%
202052,99325,49948.1%
202132,54913,54441.6%

ここまでの変動をもたらした要因は何なのか…

基本情報技術者試験は、新型コロナウイルスの影響で、2020年度春期・秋期試験が延期されました。私見ですが、この影響により、受験者が勉強時間を十分に確保できたのではないかと思います。

加えて、コロナ禍において、テストセンターでの集団試験を嫌った人たち(コロナ感染のリスクを冒してまで受験しなくていい)も一定数いたかもしれません。

絶対に受からなければならない、受かりたいという強い気持ちを持った人たちが自然と選別されていった可能性はあるのではないでしょうか。

あとは、午前・午後を別日で受験できるようになった影響も大きいと思います。いずれにしても、今は受験生にとって大チャンスな時期であると言えます。

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2.私の試験結果と勉強記録

(1)午前86.25点、午後97点で合格

私の受験結果ですが、午前86.25点、午後97点で合格できました。

基本情報技術者の午前試験の結果
午前試験の結果

午前試験は「なんだこれわからん…」と頭を抱えた問題がいくつかあり、9割を狙っていたものの少し届かず…。

基本情報技術者の午後試験の結果
午後試験の結果

午後試験では午前試験の反省を生かすことができました。特にアルゴリズムにはとにかく時間を割いて、過去問を解きまくり、アルゴリズム的思考力?を身につけるべく奮闘しました。

私は社会人なので、平日は勉強時間を殆ど確保できませんかでしたが、試験直前の土日には、1日5〜7時間くらいは勉強してました。それくらいアルゴリズムはやり込みましたね。

(2)プログラミングはPythonを勉強、しかし…

基本情報技術者試験では大問5問のうち、大問1「情報セキュリティ」大問8「データ構造およびアルゴリズム」が必答、またプログラミング言語も5つのうちから1つ選択・必答となっています。

私は将来的に情報系の職種に転職したい、と考えていたので、言語はPythonを選択しました。

しかし、やはりプログラミング初心者には難しい…!試験前日までPythonの勉強をしていましたが、当日問題を見て「こりゃ半分も解けないかも…」と逃げの気持ちが生じ、試験当日は表計算を選択しました。

(表計算は、保険として試験の1週間前から過去問のみで勉強。仕事でエクセルを使っていたことも幸いし、あまり勉強せずとも満点をとれました。)

(3)勉強時間は211時間、試験4か月前から本腰を入れて勉強

私はFE試験の1年前に情報セキュリティマネジメント試験を受けており、「勉強は継続しておいた方が、知識が定着するかな~」と思い、試験の1年前からFEの参考書を読み始めました。

と言っても、スキマ時間を使って月に2時間~3時間程度読むだけ。本格的に勉強を始めたのは試験のか月前からでした。

勉強時間は211時間。(思ったより勉強してたんだなあ…。)

単純に合格するだけ(=合格ラインの6割でいい)であれば、ここまで勉強しなくともよいと思います。私は知識の獲得が主目的だったので、自然とこれだけの勉強時間になりました。

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3.基本情報技術者攻略のポイント

実際に試験勉強をした立場から、基本情報技術者試験を受験するにあたって肝となるポイントを整理します。

(1)「何のために勉強するのか」を明確にする

試験を受けるにあたっては、目標設定・スケジュールが非常に大切なってきますが、それらを組む前提として、まず「自分が何のために受験するのか」を明確にしましょう。

教授から受けるように言われたから、会社の昇進に必要だから、受けるのか。

自分の将来に必要な資格・スキルだから、自発的に受けるのか。

前者であれば試験で6割取れば終わりです。しかしあなたが後者であるのならば、合格することは通過点に過ぎず、いつか勉強で得た知識が必要となる局面を迎えるでしょう。

「何のために受験するのか」を明確にできれば、自ずと試験勉強への取り組み方も変わってくるはずです。

(2)午前試験がすべての基礎!

午前・午後で分かれているとはいえ、午後試験は午前試験の応用です。

午前試験の勉強をしっかり行うことが最も重要かつ合格への近道であると思います。

「4択問題だから」と甘く見る・答えを暗記して終わるのではなく、午前試験の勉強の時点で、理屈を理解すること・午後試験に繋がる内容であることを意識しておきましょう。

(3)アルゴリズムは余裕を持って勉強を開始すべし

これは私個人の反省点から。

午後の鬼門とまで言われているアルゴリズム、勉強はなるべく余裕をもって開始するようにしましょう。

文系・非IT職の私は試験2か月前に福嶋本(後述)にて勉強しましたが…正直取り組み始めるのが遅かった。試験の直前まで知識を組み立てるはめになりました。

アルゴリズムについては気持ち早め(3か月前くらい)に勉強を開始しておくことをおすすめします。

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4.おすすめの参考書・勉強ツール

私が実際に使用したテキストを含め、午前・午後それぞれでおすすめの勉強ツールを紹介します。

(1)午前試験対策

1)【必須レベル】栢木木先生の基本情報技術者試験教室

試験の合格だけを目的とせず、IT・情報に関するしっかり深めるのであれば、午前・午後ともに参考書を手元に置いておくことをおすすめします。

まずは午前試験ですが、私は「栢木先生の基本情報技術者教育」という参考書を使用。この1冊で基礎を叩き込みました。

この参考書のいいところは、イラストがあり、かつページ当たりの文字数が適当であるため、とても読み進めやすいところ。また、項の終わりごとに演習問題が付いており、インプット・アウトレットを同時に進めることができます。

私個人としては、基本情報技術者を受けるにあたってこの1冊は最優先で買うべき参考書だと思っています。

(その他①)徹底攻略 基本情報技術者教科書

なお、イラストは無い方がいい、という方へは、下記の参考書がおすすめ。

私が情報セキュリティマネジメント試験対策の際に使用していた参考書と同じシリーズ。イラストが無い分、文字数が多いですが、ちょっと細かい情報も拾えるのが魅力。読みづらさは感じないため、より細かい知識を身に着けたい場合はこちらの本も検討してみるとよいでしょう。

(その他②)キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者

受験者の間ではとても人気の高いキタミ式。

ただ、私は「ちょっと自分には合わないかなあ」と、手に取りませんでした。テキスト本編も筆者によるイラストが大半であり、それをわかりやすいと感じるか、或いは見にくいと感じるか、意見が分かれると思います。一回本屋で中身を見てから購入を判断した方がいいです。

2)過去問アプリ(にしむら工房さん)

午前問題の演習は、無料のスマホアプリでOK!

にしむら工房さんより「基本情報技術者試験Lite(全問解説付)」というスマホアプリがリリースされています。シンプルで使いやすいアプリでした。全問に解説があるのは非常に助かった。

Google Play ストア – 「基本情報技術者Lite(全問解説付)

基本情報技術者試験では、午前問題のうち3割程度が過去問からの出題であるため、通勤や休憩時などのスキマ時間を活用して、実力をコツコツ積み上げていきましょう。

(2)午後試験対策

1)【必須レベル】福嶋先生のアルゴリズム

アルゴリズム勉強のうえで必須。福嶋先生のテキストです。アルゴリズムの1から丁寧に解説されていて、初心者でもスルッとアルゴリズムの勉強に着手できます。

このテキストの嬉しいところは、福嶋先生の個人HPにて過去問題の解説動画を公開してくれている点。至近5年分の動画はテキスト読者限定公開です。

フリー公開である2016年度春期の「簡易メモ帳のメモリ」の動画を貼っておきます。比較的易しい問題なので、参考書を終えたらすぐに取り組むことができます。

平成28年春期 簡易メモ帳のメモリ|午後の過去問題解説|公開動画|基本情報技術者試験の『ふっくゼミ』
基本情報技術者試験 午後 問8 擬似言語問題の解説

2)選択言語の参考書

私はPythonにて受験予定だったので、以下の参考本を購入。登場人物3人による会話形式のテキストであり、解説も「本当にプログラミングが初めての人」向けに書かれていて大変勉強しやすかったです。

ちなみに、ステップアップを目的に2冊目として以下の参考書を購入しましたが、私には合わず…。

1冊目と比べると中身がごちゃごちゃ、詰め込み具合が高く、初学者にはわかりづらかったです。初心者向けとは謳ってあるけど、ある程度その他のプログラミング言語の経験がある人向けだったかもしれません。

以下のテキストであれば、FE試験の演習問題が付いているようです。過去問非公開なので、公式でなくとも演習問題を実際に解く機会を得られるのは嬉しいポイントです。

3)過去問道場

基礎固めとアルゴリズム・プログラミング対策がひと段落ついたら、「過去問道場」でひたすら過去問を回しましょう。最低至近5年、目標は10年分。

午後試験は応用的な知識を問うため、ひたすら過去問に当たり「何故この手法を採るのか?」等、自分で考えを巡らせる=深く理解することが大切になってきます。

基本情報技術者過去問道場
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5.おすすめの勉強方法

実際に勉強した経験を踏まえ、おすすめの勉強方法・スケジュールについてまとめてみます。

(1)全体の進め方

区分勉強開始時期ポイント
午前試験4か月前過去問演習を重視
午後試験3か月前午前の知識を土台に

まず、勉強は午前→午後の順で取り組みましょう。午前の知識が、午後試験の土台となるからです。

(2)午前試験

午前試験は、試験の4か月前までに取り組むことをおすすめします。

試験範囲が広く、勉強不足になるのを防ぐためです。深い知識を問う問題は多くないため、参考書を過去問アプリを駆使して、基礎知識の習得に努めましょう。

勉強は、以下のような感じで進めるとよいでしょう。

  1. 【4か月前】理解できなくてもいいので、参考書を1周読む
  2. 【3か月前】参考書2周目を読む。「理屈・理論」を理解することを心掛ける
  3. 【2か月前】過去問アプリでアウトプットを図る
  4. 【試験直前】参考書3周目を読む。ほぼ理解できるようになっているはず!

(3)午後試験

午後試験は、アルゴリズムが肝!プログラミング初心者であれば、試験3か月前にはアルゴリズムに着手しておいた方がいいです。

プログラミング言語の選択ですが、合格だけが目的なら表計算でよいでしょう。私は試験前1週間だけ表計算の勉強をした程度でしたが、それでも満点をとれるくらい簡単でした。ただ、表計算の後半戦はアルゴリズム要素が強いため、アルゴリズムをどれだけ理解しているかが表計算の得点率に影響してきます。

一方、今後の業務や転職に生かしたいのであれば、表計算以外をきちんと勉強しておくのがよいでしょう。ただ、言語(特にC)によってはものすごく難しい問題に当たってしまうことがあるようなので、保険として+1言語 or 表計算を勉強しておくことをおすすめします。

情報セキュリティやその他選択問題については、午前の知識を確実に積み上げたら、あとは過去問演習にて知識・理解を深めていきましょう。午前のように表面だけの知識で得点することは難しいので、わからない理論に当たったら、適宜参考書へも立ち返るように。

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6.一発合格目指して、継続あるのみ

基本情報技術者試験はITエンジニアを目指す人向けの登竜門的資格です。CBT方式に移行した至近2年でこそ、合格率4割台と高めに推移していますが、いい加減に取り組んで合格できるほど甘い試験ではありません。

また、受験料も2022年度試験から5,700円→7,500円に値上げされたため、不合格を繰り返すことは経済的ではありません。

「自分がなんのために勉強するのか」を明確にし、適切な参考書を手に着実に知識を積み上げることが合格への近道です。一発合格を目標に、継続あるのみです。

以上、基本情報技術者試験の受験レポートでした。

次のおすすめ記事

情報セキュリティマネジメント試験の、2020年度秋期受験記録。

基本情報技術者の午後問題で必須回答である「情報セキュリティ」について理解を深めることができるので、FE受験前にこちらの資格を取得しておくこともおすすめです。

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