小学生の頃、大河ドラマ「義経」を見ていた。弁慶が体を張って矢を受ける最期のシーンは今でも憶えている。
大河ドラマの影響で、私の中の義経像は「悲劇のヒーロー」。日本史の重要人物の中でもかなり思い入れの強い人物になっていた。興味からか憧れからか、いつか平泉に訪れたみたいという気持ちが、常に心の中にあったと思う。
そして今回、念願叶い、平泉を訪問。美しい景色の中、過去の人物に思いを馳せる旅となった。
1.岩手県西磐井郡平泉町について

平泉町は、岩手県の県庁在地・盛岡市の南に位置し、ほぼ岩手県の南端にあります。
かつて奥州藤原氏が名を轟かせたこの地の観光名所は、何といっても中尊寺金色堂!誰もが小学校の歴史の教科書で、あのピカッピカの本堂を目にしたことがあるのではないでしょうか。

新幹線でアクセスする場合は、一ノ関駅まで向かい、そこから在来線で8分。平泉方面の電車に乗ればOK。
中尊寺と毛越寺に駐車場がありますが、いずれも有料。普通車であれば300~400円です。臨時駐車場もありますが、いつでも開いているといわけでは無さそう。
なお、平泉観光協会さんが「ひらいずみナビ」にて平泉観光のパンフレット等を公開しています。旅の前に公式情報もチェックしておくとよいかも(´∀`)
2.平泉観光の手段
上記グーグルマップの通り、平泉は観光範囲がそこまで広くないため、足腰に自信があれば徒歩でも十分観光可能です。
以下では、4つのケースを列挙し、メリット、デメリットを整理してみます。
(1)徒歩 ★おすすめ!

メリット
私の一番のおすすめ!やはり徒歩のメリットは「街を隅々までじっくり見て回れる」ことでしょう。
また、自分の足で歩くことで、今自分は旅をしているんだ、という気持ちをより強く感じることができます。
交通費がかからないのもうれしいですね!
デメリット
自分の足で一歩一歩大地を踏みしめる分、どうしても移動時間がかかってしまいます。
平泉観光に時間を割けない場合は、徒歩での観光は断念した方が無難です。私としては、ぜひ時間を作って、平泉を歩いて観光してほしいです。
(2)レンタサイクル(自転車)

平泉駅を出て右手にある観光案内所などでレンタル可能。駅周辺には複数のレンタサイクル屋があります。相場は4時間で500~600円ほど。
例えば、平泉駅すぐ近くにあるゴールドレンタさん。料金体系を以下公式HPから確認できます。
メリット
徒歩よりも早く、でも自分で風を切りながら街並みを楽しめるのが魅力です。徒歩だと断念せざるを得ない場所(達谷窟毘沙門堂など)でも、チャリならささっと移動できちゃいます。
また、レンタサイクル屋では無料で手荷物を預かってくれるところが多いです!徒歩だとコインロッカーに荷物を預けることになりますが、レンタサイクルならそのお金でチャリに乗れてしまう。
デメリット
チャリを止める場所を気にしないといけないのがちょっと面倒かもしれませんね。
あとは、観光客が多い時間帯だと、人と車を避けねばならないので、進みづらいかも。(私が観光した時は平日午後だったので、人も車もそれほどいませんでした。)
(3)観光タクシー
メリット
移動がとにかく楽&荷物の心配をしなくていいことが最大のメリットですね。短時間でも平泉を観光できるのも嬉しいです。
また、ドライバーさんは平泉観光協会認定の語り部さん。歴史についてお話を伺えるもの、現地を知るためにはとても大切なことです。
例として、一関平泉タクシーさんの観光タクシーページを取り上げておきます。
デメリット
これは言わずもがなですか、お金がかかります。2時間コースでだいたい11,000円程度。
便利さの代償ですね…。お金によほど余裕がある場合でなければ、選択肢には入らないかもしれません。
(4)バス
メリット
1回の乗車で150円と、安価に長距離移動ができる点は魅力です。フリー乗車券もあり、1日450円乗り放題にもできます。
時刻表やバス停、運賃は以下の岩手県交通株式会社さんの公式HPから確認できます。
デメリット
自分が観光したいペースで観光ができないこと、でしょうか。バスは時刻表通りにしか動いてくれません。
個人的に、平泉観光においてはバスはあまり良い手段ではないかなあと思います。
3.平泉観光のモデルコース・観光所要時間
「平泉観光のモデルコースはどんなルートなんだろう?」
観光名所が多いため、自分でルーティングするのは難しいですよね。
本項では、私が実際に巡ったルートをもとに、おすすめの観光モデルコースを作ってみました!観光の所要時間と拝観料金等も併せて記載!
平泉駅を起点終点とし、平泉をぐるっと1周するコースです。歩き通しても1時間13分。中尊寺、毛越寺といった必須の見どころはもちろんカバーしております。
観光場所 | 観光所要時間 | 拝観料等(大人) |
(1)毛越寺 | 40分 | 700円 |
(2)平泉文化遺産センター | 30分 | 0円 |
(3)治水庵(ランチ) | 40分 | 1,000円 |
(4)武蔵坊弁慶の墓 | 10分 | 0円 |
(5)中尊寺金色堂 | 60分 | 800円 |
(6)高館義経堂 | 30分 | 300円 |
(7)無量光院跡 | 10分 | 0円 |
(徒歩所要時間) | 約75分 | - |
合計 | 約5時間 | 約2,800円 |
(1)毛越寺
平泉駅を発ち、最初の観光場所は特別史跡・特別名勝の毛越寺(もうつうじ)。平泉駅からまっすぐ西へ向かうとたどり着きます。
毛越寺は慈覚大師円仁が開山し、藤原氏二代基衡から三代秀衡の時代に多くの伽藍が造営。かつては中尊寺を凌ぐほどの規模と華麗さを備えていましたが、度重なる災禍により、すべての建物が消失。しかし、現在では建物の多くが復元されており、この観光場所の見どころである「浄土庭園」は、素晴らしい景観で私たちを迎えてくれます。

















何よりの見どころは浄土庭園!
その昔、遣水の傍らで貴族たちが詩歌を詠む「曲水の宴(ごくすいのえん)」が開催されていたその場所は、とても美しい風景でした。


(2)平泉文化遺産センター

続いて中尊寺金色堂に向かいますが、途中に平泉文化遺産センターがあります。
ここでは、平泉の歴史や文化遺産の見どころを知ることができるため、できれば遺跡の訪問前に立ち寄っておくことで、より深く遺跡をたのしむことができます。私は平泉のことは「歴史の教科書でそんな地名が出てきたな…」程度にしか頭になかったので、ここで奥州藤原氏や源義経の知識を吸収できたことが、観光の助けになってくれました!
無料なのも嬉しいところですね。
<公式HP>平泉町 平泉観光文化センター

(3)ランチ(今回は地水庵)
中尊寺金色堂付近には、複数のご飯屋さんがあります。
今回のおすすめは「地水庵(ちすいあん)」というお蕎麦屋さん。
趣ある平泉の町で、しっとりいただくお蕎麦はきっと格別な味わいのはずです(´∀`)
(4)弁慶の墓
中尊寺金色堂…の前に、武蔵坊弁慶の墓を。
中尊寺に向かう月見坂を上る前にあります。
私はここで大河ドラマ「義経」の弁慶最期のシーンを思い返し、ひとり佇んでおりました…。




弁慶のお墓は、手前の大きい石碑ではなく、奥の小さな石。

(5)中尊寺金色堂
ようやくやってまいりました、平泉の大本命・中尊寺金色堂。
中尊寺も、毛越寺と同じく、比叡山延暦寺の高僧慈覚大師円仁によって開山。
ここでの一番の見どころは、言うまでもなく金色堂。普段は覆堂により風雨から守られているため、外からその様子を確かめることはできません。
(実は今回中尊寺に行くまで、あの白い覆堂も有名な建造物の1つなのかと思っていました…中に金色堂はあるのね、お恥ずかしや…)







ながーい月見坂の途中には、見晴らしのいい物見台があります。







中尊寺、意外と広い。金色堂はどこじゃ~~。





やっと来たぜ、覆堂!
中の金色堂はカメラ禁止。金色堂の下には、藤原氏3体の遺体が安置されています。














月見坂を下り、お次は高館義経堂へ向かいます。
(6)高館義経堂
ここは、1189年に、義経が妻子とともに自害した場所とされています。兄の頼朝の圧迫に耐えかねた藤原泰衡の急襲にあったのです、
この階段を上った先の丘には、1683年に仙台藩主・伊達網村が義経を偲んで建設した義経堂があり、その中には義経の木造が安置されています。
義経は、何を思いながらこの地で最期を迎えたのでしょうか…





なお、この義経堂の近くには、松尾芭蕉が平泉を詠んだ有名な「夏草や兵共が夢の跡」の石碑があるらしいのですが…見つけられませんでした(´;ω;`)この2つの石碑はいずれも違うものです。
(7)無量光院跡
このモデルコースの最後の観光場所、無量光院跡。
藤原氏3代目の秀衡が、京都の平等院鳳凰堂を模して作ったのだとか。こちらも毛越寺と同様に、度重なる戦火により焼失し、今は水面が残るのみ。
でも、何もないからこそ、想像で、思いふけって、過去を偲ぶことができる。私が訪問した時は私一人しかいなくて、静かな、何もない場所で、過去を想像する時間は表現しきれぬ豊かさと儚さにあふれていました。



5.まとめ
平泉を観光する場合、時間があるのであれば徒歩で街と歴史とゆったり感じるのがおすすめ!中尊寺金色堂や毛越寺をはじめとした7か所を巡るコースでも、5時間程度で観光可能です。
時間にあまり余裕がない場合は、平泉駅付近にあるレンタサイクルを利用するのがおすすめ。手荷物預かりのサービスが嬉しい。
奥州藤原氏、そして源義経。
彼らの生きざまを感じる旅に出かけてみませんか?
現地で思いをはせることで、きっと写真からは得られない感動に出会えるはずです。
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平泉の観光拠点として、こちらのお宿はいかがですか?「かぢや別館らまっころ山猫宿」さん。その名の通り、館内には至る所に猫のモチーフが。お料理は丁寧さを感じさせ、館内やスタッフさんはとてもアットホームな雰囲気。近くには観光名所「猊鼻渓」があり、舟下りを楽しむことができます。
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